カスモサウルス
図鑑 / 恐竜のしっぽ
カスモサウルスとは
学名(属名) | Chasmosaurus |
名前の意味 | 穴のあいたトカゲ chasma(大きな穴)[ギリシャ語]-saurus(トカゲ)[ギリシャ語] |
分類 | 鳥盤目・周飾頭類(周飾頭亜目・角竜下目) |
全長 | 約5-8m |
食性 | 植物食 |
生息時期 | 白亜紀後期 |
下分類・種名 | Chasmosaurus belli Chasmosaurus russelli? Chasmosaurus irvinensis? |
論文記載年 | 1914 |
属名の記載論文 | On Gryposaurus notabilis, a new genus and species of trachodont dinosaur from the Belly River Formation of Alberta, with a description of the skull of Chasmosaurus belli. The Ottawa Naturalist 27. by Lawrence Morris Lambe. 1914. |
特徴
カスモサウルスの名前は、"穴の開いたトカゲ"を意味します。
名前のとおり、頭骨のフリル骨には大きな穴が開いており、頭部の軽量化のためと考えられています。
フリルを正面から見ると、ハート型にも見えます。
カスモサウルスもトリケラトプス同様、頭部に3本の角をもつ角竜です。個体差はありましたが、トリケラトプスほど眼の上の角は発達していませんでした。
頭部のフリルは縦に長い形で、角竜のなかでも最大級のフリルをもっています。湾曲は少なく、縦に直線的でした。
群れをつくった?
カナダのアルバータ州で、カスモサウルスの集積した多数の化石が見つかりました。
多頭のカスモサウルスが、洪水などによって1箇所に流されて蓄積したと考えられています。 群れで行動していた可能性があります。 実際に、近縁の角竜(ケラトプス類)では群れで行動していたことが分かっています。
2016年国立科学博物館で開催された「恐竜博2016」では、カスモサウルスの群れのイラスト(イラストレーター菊谷詩子)とともに、カスモサウルスの成体・幼体の骨格化石が展示されました。 幼体は、成体に比べて、身体に占める頭の割合が大きいことが分かります。まるで人間の赤ちゃんみたい。
発見と論文記載
1913年にアメリカの化石収集家チャールズ・スタンベーグ(Charles Hazelius Sternberg)が、カナダ・アルバータ州で完全な保存状態の頭骨化石を含む複数の標本を発見しました。
これらの標本はカナダの地質調査所に勤めていたローレンス・ラム(Lawrence Morris Lambe)のもとに運ばれ、<トロサウルスの前>という意味、属名"プロトロサウルス(Protorosaurus)"として記載されました。
ところが、その名前"プロトロサウルス(Protorosaurus)"はペルム紀に生息していた別の爬虫類に既に使われていることがわかり、
1914年カスモサウルス(Chasmosaurus)と命名し直します。
ローレンス・ラムが属の記載に用いたのは1913年に他者が見つけた標本でしたが、 実は、ローレンス・ラム自身がそれより以前(1898年)にカスモサウルスの頭骨を見つけていたことがわかってます。 この事実がわかったのは、ローレンス・ラムが他界して70年後 - 1990年のことでした。
1898年ローレンス・ラムはカナダ・アルバータ州のBerry Creek層で、角竜類の頭骨フリルの一部を発見しました。 彼はこの頭骨化石(標本番号NMC 491)をモノクロニウスの一種のものと考え、1902年、モノクロニウス・ベリ(Monoclonius belli)を記載します。 1915年"モノクロニウス・ベリ"はエオケラトプス(Eoceratops)と記載し直されていますが、 1990年、アメリカ・テキサス工科大学の生物学者トーマス・レーマン(Thomas Lehman)によって 「1898年にローレンス・ラムによって発見されたモノクロニウス・ベリ(Monoclonius belli)、のちのエオケラトプス・ベリ(Eoceratops belli)は、カスモサウルス(Chasmosaurus)に該当する」ことが示されています。