スティラコサウルス

スティラコサウルス

Styracosaurus

スティラコサウルスとは

学名(属名) Styracosaurus
名前の意味 とげのあるトカゲ
styrako(棘)[ギリシャ語]-saurus(トカゲ)[ギリシャ語]
分類 鳥盤目・周飾頭類 (周飾頭亜目・角竜下目・ケラトプス科・セントロサウルス亜科)
全長 約5.5m
食性 植物食
生息時期 白亜紀後期
下分類・種名 Styracosaurus albertensis
論文記載年 1913
記載論文 A new genus and species from the Belly River Formation of Alberta. Ottawa Naturalist.
by Lawrence M. Lambe. 1913.

特徴

スティラコサウルスの頭骨化石
頭骨化石(2017年撮影)

スティラコサウルスは全長約5.5m、体重3t(3000kg)と推定されています。
白亜紀後期の北米に生息したケラトプス類としては小型ですが、頭部にはかなり派手な角が生えていました。

スティラコサウルスのフリル後方から6本の長いとげが伸びており、角竜の中でも派手なフリルをしています。軽量化のために、フリルには大きな穴が空いていました。

スティラコサウルスの切手

大きく派手なフリルと角は、主に仲間を見分けるためのディスプレイや、異性へのアピールに使われたと考えられていますが、同時に激しい闘争の道具でもあったようです。
多くの頭骨化石には、治癒した骨折や、他の個体の角によって開けられたと思われる穴などの傷跡が残っています。これは、彼らが縄張りやメスをめぐって、日常的に激しい闘争を繰り広げていたことを物語っています。

スティラコサウルスのフリルの一部
スティラコサウルスのフリルの一部(2014年撮影)
スティラコサウルスの切手

巨大な群れの発見

スティラコサウルスの切手

スティラコサウルスが大規模な群れで生活していたことは、カナダ・アルバータ州のダイナソーパーク州立公園で発見された、巨大なボーンベッド(化石が密集した層)から明らかになっています。

このボーンベッドからは、子供から大人まで、少なくとも数百頭分のスティラコサウルスの化石が一緒に発見されました。これは、洪水のような急な災害によって、巨大な群れ全体が一瞬にして命を落とした現場だと考えられています。この発見は、彼らが現生のヌーやバイソンのように、非常に社会的な動物であったことを示す動かぬ証拠です。

進化の瞬間?:「ルベオサウルス」との関係

スティラコサウルスの研究は、近年エキサイティングな展開を見せています。かつて、アメリカ・モンタナ州のより新しい地層から発見された、フリルのトゲが前方にカーブする特徴を持つ角竜は、ルベオサウルス (Rubeosaurus) という別の属の恐竜だと考えられていました。

しかし、2020年に発表された最新の研究により、このルベオサウルスは、実はスティラコサウルスが数百万年の時を経て進化した姿である可能性が非常に高いことが示されました。古い地層からは典型的なスティラコサウルスが、新しい地層からは「ルベオサウルス」の特徴を持つスティラコサウルスが見つかることから、これは一つの種が時間と共に別の種へと姿を変えていく「アナジェネシス(単系統進化)」という、進化の貴重な瞬間を捉えた化石記録かもしれないのです。

この説が正しければ、私たちが知る「スティラコサウルス」は、その生涯の間に角の形を変えただけでなく、種として進化の道を歩み続けていたことになります。

初めての論文記載

スティラコサウルス記載の論文(1913年)
スティラコサウルスの記載論文抜粋(1913年)
A new genus and species from the Belly River Formation of Alberta. Ottawa Naturalist
by Lawrence M. Lambe. 1913.

カナダ・アルバータ州で発見された角竜は、1913年ローレンス・ランベLawrence Lambeによって"スティラコサウルス(Styracosaurus)"と命名されました。

その後1935年にカナダRoyal Ontario博物館によって本格的な発掘再調査が行われ、下顎を含む多くの骨格化石を発掘、スティラコサウルスが全長5.5メートルほどの大きさであったことがわかりました。

スティラコサウルスの頭骨模型
スティラコサウルスの頭骨模型(2014年撮影)

スティラコサウルスの切手・化石ギャラリー