パラサウロロフス
図鑑 / 恐竜のしっぽ
パラサウロロフスとは
学名(属名) | Parasaurolophus |
名前の意味 | サウロロフス(トカゲのトサカ)に似たもの para(近い、似た)[ギリシャ語]-sauros(トカゲ)[ギリシャ語]-lophos(トサカ)[ギリシャ語] |
分類 | 鳥盤目・鳥脚類 (鳥脚亜目・ハドロサウルス科) |
全長 | 約10 - 12m |
食性 | 植物食 |
生息時期 | 白亜紀後期 |
下分類・種名 | Parasaurolophus walkeri Parasaurolophus tubicen Parasaurolophus cyrtocristatus |
論文記載年 | 1922 |
属名の記載論文 | Parasaurolophus walkeri, a new genus and species of trachodont dinosaur. University of Toronto Studies: Geological Series. 13 by William A. Parks. 1922. |
特徴
パラサウロロフスは、白亜紀後期の北米に生息した大型鳥脚類です。
属名は「サウロロフス(1912年に記載されたモンゴルの大型鳥脚類)に似たもの」という意味ですが、特に近縁というわけではありません。
パラサウロロフスの特徴は、頭の上の長いトサカ(管)でしょう。このトサカは長さ1m80cmほどありました。
鼻から入った空気が長いトサカの中を廻って、体内に取り込まれます。
かつては(1990年代まで)匂いを感じる面積を大きくして嗅覚を強化したとも考えられていましたが、2005年カナダ・トロント大学の研究によって否定されました。
頭上のトサカについての役割は、鳴き声を響かせるための音響器官やその形で性別を識別するディスプレイとする説が有力となっていますが、その役割について決定的な定説はありません。
パラサウロロフスの赤ちゃん
2009年、アメリカ・ユタ州Kaiparowits Formationでパラサウロロフスの幼体化石が見つかりました。
2013年論文に掲載され、標本番号RAM 14000でカタログ化されたこの幼体は全長2.5mで、1歳に満たないと推定されることが示されました。
トサカは、大人のパラサウロロフスのようには発達していませんでした。大人のように長い管状ではなく、低く半球状をしており、大人とは違う鳴き声を発していたようです。
発見と論文記載
1920年、カナダ・トロント大学が行っていた白亜紀後期の地層-アルバータ州レッドディア河(Red Deer River)沿いでの野外学習中に、特徴的な頭骨を含む部分骨格を発見します。
1922年、この時に発見された化石群(標本番号ROM 768)に基づいて、トロント大学の古生物学者ウィリアム・パークス(William A. Parks)は新属新種パラサウロロフス(Parasaurolophus walkeri)を記載します。 種名の"walkeri"は、トロント大学やカナダ国立美術館、オンタリオ州立大学ロイヤル・オンタリオ博物館などで文化教育事業の発展に貢献したバイロン・ウォーカー(Byron Edmund Walker)を敬意を表してつけられたもののようです。
パラサウロロフス属は、現在3種が知られています。
2つ目の種は、1921年アメリカ・ニューメキシコ州のKirtland Formationと呼ばれる地層から発見されました。
部分的な頭骨化石でしたが、スウェーデンの古生物学者カール・ウィマン(Carl Wiman)のもとへ送られ、1931年パラサウロロフスの新種Parasaurolophus tubicenとして記載されます。
3つ目の種は、1961年にジョン・オストロム(John Ostrom)が記載したParasaurolophus cyrtocristatusです。標本番号FMNH P27393でカタログ化された部分的な頭骨と尾、首からなる化石に基づいて記載されました。
3種は頭骨の上のとさかの婉曲ぐあいや長さなどによって区別されています。初めに記載されたParasaurolophus walkeriは、他の2種に比べて、とさか内部は単純で直線的でした。