パキケファロサウルス
図鑑 / 恐竜のしっぽ
パキケファロサウルスとは
学名(属名) | Pachycephalosaurus |
名前の意味 | 頭の厚いトカゲ pachys(分厚い)[ギリシャ語]-kephalē(頭)[ギリシャ語]-saurus(トカゲ)[ギリシャ語] |
分類 | 鳥盤目・周飾頭類(周飾頭亜目・堅頭竜下目) |
全長 | 約6m |
食性 | 植物食 |
生息時期 | 白亜紀後期(約7000万年-6600万年前) |
下分類・種名 | Pachycephalosaurus wyomingensis |
論文記載年 | 1943 |
属名の記載論文 | A study of the troödont dinosaurs with the description of a new genus and four new species. Bulletin of the American Museum of Natural History. 82 (5) by Brown, Barnum; Schlaikjer, Erich M. 1943. |
特徴
パキケファロサウルスは、堅頭竜(いわゆる、石頭竜)を代表する恐竜です。
全長6m、最大級の石頭竜となります。
後頭部には骨質の小突起があり、頭頂部は厚さ15-25cmの骨で覆われたドームになっていました。まさに<石頭な竜>です。
前肢(前足)には5本の指をもっていました。尾はまっすぐ後方に持ち上げられ、走るときにバランスをとるのに使われたと考えられています。
石頭の役割
パキケファロサウルスの厚い頭頂部の役割については様々な説(かつては「仲間同士でぶつけて、群れの中での順位を決めた」とか、「肉食恐竜からの防御としての武器」等)がありますが、よくわかっていません。
現在では、「仲間で、頭と頭をぶつけ合って」という説には否定的な意見が大半を占めています。 「パキケファロサウルスの首の骨がその衝撃に耐えられないこと」と、「強くぶつけ合うには不的確な頭の形」だからです。 ところが、2004年に世代(幼体(赤ちゃん・少年)、亜成体(青年)、成体(大人))別に頭骨が分析されて、 「幼体の頭骨にはクッションの役割をするスポンジ状構造がみられるため、頭突きの衝撃をやわらげることができた」とする研究結果が発表されています。 2012年には頭突きによるものとみられる傷のある頭骨も示され、まだ石頭の理由・役割についての研究は続きそうです。 他の部位よりも頭骨の化石が発掘されやすいことから、頭部がより硬い恐竜であったことは間違いありません。
後頭部には、骨のスパイクのようなトゲトゲがついていました。このスパイクは雄(オス)の性差・特徴と考えられています。
論文記載とたらい回しの標本ANSP 8568
パキケファロサウルスが属(genus)として記載されたのは、1943年のことです。
"A study of the troödont dinosaurs with the description of a new genus and four new species."のタイトルを冠した論文が、
1943年12月に発行されたBulletin of the American Museum of Natural Historyに掲載されました。
アメリカの古生物学者バーナム・ブラウンBarnum Brownによって、アメリカ・モンタナ州Hell Creek Formationから発見されたほぼ完全な頭蓋骨である標本番号AMNH 1696に基づき記載されたものでした。
1850年代にアメリカ・モンタナ州南東部Lance Formationで発見された標本番号ANSP 8568は、パキケファロサウルスが属名として記載される約70年前 - 1872年に アルマジロのような外皮をもつ爬虫類の皮と考えられ "Tylosteus"の属名が与えられます。
この化石がパキケファロサウルスの後頭部から伸びた骨と同定されるのは、1979年まで待つ必要がありました。
さらに2006年サリバン・ロバートSullivan, Robert M.が「標本番号ANSP 8568は、パキケファロサウルスよりもドラゴレックスに似ているのでは!?」とする論文を提出しています。
標本番号ANSP 8568は、属(genus)の間をたらい回しにされているようです。
(2018年時点では、ドラゴレックスと呼ばれるものがパキケファロサウルスの幼体である可能性も提唱されています。)