アロサウルス
図鑑 / 恐竜のしっぽ
アロサウルスとは
学名(属名) | Allosaurus |
名前の意味 | 異なるトカゲ allos(異なる)[ギリシャ語]-saurus[ギリシャ語] |
分類 | 竜盤目・獣脚類(獣脚亜目・テタヌラ下目) |
全長 | 約9-12m |
食性 | 肉食 |
生息時期 | ジュラ紀後期 |
下分類・種名 | Allosaurus fragilis Allosaurus europaeus Allosaurus jimmadseni Allosaurus tendagurensis |
論文記載年 | 1877 |
属名の記載論文 | Notice of new dinosaurian reptiles from the Jurassic formation. in American Journal of Science and Arts. Marsh, Othniel Charles, 1877. |
特徴
アロサウルスは、ジュラ紀を代表する大型の肉食恐竜です。1億5500万年〜1億4500万年前のジュラ紀後期、陸上のおける食物連鎖の頂点にいました。 寿命は22歳~28歳くらいでさまざまな成長過程の化石が見つかっており、獣脚類の成長に関する研究に役立っています。
アロサウルスの体重は2トン前後と推測されています。 身体大きさの割には、軽い頭部でした。 目の上に涙骨が発達した突起がありますが、形や大きさは個体差がありました。
短い前足には3本の鋭い爪をもっています。親指にあたる第一指が一番大きかったようです。
アロサウルスの生態
アロサウルスは、生息していた時代・地域では 食物連鎖の頂点にいた王者だったと考えられています。
「アパトサウルスの後を追う アロサウルスの足跡化石」や「大型竜脚類に残された歯の跡」、「アロサウルスの歯並びと一致する噛み痕の残ったステゴサウルスの化石」が見つかっています。 それらのことから、大型植物食恐竜を襲っていたと推測されています。
アロサウルスの頭骨を分析した結果、両眼の視野の重なりは20度ほどだったことがわかっています。 視野の重なりは立体的に獲物との距離を計るのに役立ちますが、ティラノサウルスほど立体視はできていなかったことになります。 しかし現生のワニくらいには距離感を把握できていたようですので、狩りをするには十分だったのでしょう。
体重が軽い分、最高速度30km/h~50km/hほどで走れたと推測されています。
アロサウルスの化石を多く産出するアメリカのモリソン層。 ジュラ紀後期の当時は乾季と雨季を繰り返すサバンナで、高い木は少なく背の低いシダ植物を中心とした平原だったと考えられています。 スピードを活かした狩りが得意だったのかも知れません。
アロサウルスの社会性と共食い
長い間、「アロサウルスは仲間同志で意志疎通をして、共同で狩りをしていた」と考えられていました。
大型竜脚類を追うように複数個体の足跡が残されていたり、獲物となった恐竜のそばに大小さまざまなアロサウルスの歯が抜け落ちていたことを根拠に挙げて、共同生活をしていたと思われてきたのです。
近年の研究では、アロサウルスのような大型肉食恐竜が共同で(仲良く)行動していた可能性は低いとされています。
恐竜と同じ双弓類(トカゲ・ワニ・鳥)の現生動物において仲間と共同で狩りをする例はなく、むしろ群れの中にあっても縄張り争いや獲物の争奪相手として同種他者を認識していたのではないか、というのです。
それを裏付けるように、同じアロサウルスがつけたと思われる腹肋骨の傷跡や頭骨の噛み跡が残された化石が見つかっています。
2020年には、米テネシー大学の古生物学者が「アロサウルスが共喰いをしていた証拠」を示しました。 モリソン層-マイガット・ムーア発掘地で見つかった2368個の化石標本を調べたところ、29%に噛み跡が残っており、この中にはアロサウルスが同種をかじった痕も含まれていたのです。 同じ論文の共著者である西部コロラド博物館は「おそらく争ったのではなく、既に死んでいた仲間を食したのではないか」と主張しています。 長期の干ばつによって獲物が激減し、栄養となるものをなりふり構わず食べる必要があったかも知れないと述べています。
アロサウルスの成長と年齢
アロサウルスはほぼ全年齢の化石が発掘されており、成長と年齢に対する研究が進んでいます。
2006年に公開された論文によると、アロサウルスの寿命は22歳〜28歳で、15歳あたりが成長期。年間148kgほどの成長があったと推定されています。
また、推定10歳のアロサウルスからは"骨髄骨"という組織の跡が見つかりました。 "骨髄骨"とは、産卵するメスがカルシウムを貯めておくためにつくる組織です。アロサウルスが10歳には繁殖可能であったことがわかっています。
眼上の突起
アロサウルスは、モリソン層で最も多く発見されている獣脚類です。発掘された標本数が多いということは、研究が進めやすいことにつながります。
2005年、北アリゾナ博物館は「アロサウルスの眼上突起は、ふたつのタイプにわけられる」と主張しました。
性的な(つまり、オスとメス)違いによるものと考えています。
ビッグ・アル(Big Al)
ティラノサウルスの"スー(Sue)"(愛称)のように、アロサウルスの中にも特に有名な個体があります。
1991年にアメリカ・ワイオミング州で発見された愛称"ビッグ・アル(Big Al)"で呼ばれる個体です。骨格の95%が残されていた、ほぼ完璧な標本でした。
一部の関節は接合された状態で発見されています。
標本番号MOR 693のビック・アルは、全長8m。やや小型で若い個体のようでした。1996年に、ビッグ・アル(Big Al)について調査研究されています。 "ビッグ・アル"は化石に残された傷跡から、骨髄炎に侵されていたことがわかっています。 歩行が困難になり、これが原因で致命的なダメージを負ったのではと推定されています。