世界の恐竜化石産地・地層
お勉強 / 恐竜のしっぽ
三畳紀の地層-恐竜化石産地
三畳紀は、恐竜が誕生した時期です。アルゼンチンに、最古の恐竜を有する地層が露出しています。
イスチグアラスト累層 - Ischigualasto Formation (アルゼンチン)
イスチグアラスト累層(Ischigualasto Formation)は、チリとの国境近くにあるイスチグアラスト州立公園内にあります。約2億3000万年前の地層-恐竜最初期の地層を有しており
恐竜への進化と出現のなぞを解く鍵を握っていると考えられています。
三畳紀後期、この場所は雨季に強い雨が降る氾濫原だったようです。太い河が流れる植物豊かな土地でした。
多くの単弓類やワニの仲間、植物食のディキノドン類が闊歩し、肉食動物では全長7mを誇るサウロスクスが食物連鎖の頂点にいました。
恐竜はまだ小型で、食物連鎖の頂点にいたわけではありません。三畳紀は、どの系統が次世代の覇者となるかはわからない時代だったのです。
イスチグアラスト累層から発見された、主な恐竜
- エオラプトル(竜脚形類)
- ヘレラサウルス(獣脚類)
- ピサノサウルス(鳥脚類)
ジュラ紀の地層-恐竜化石産地
ジュラ紀は、恐竜が大型化・多様化の道筋をつけた時期でした。
代表的な地層・産地は、アメリカのモリソン層とドイツのゾルンフォーフェンでしょう。
石樹溝層(ジュンガル盆地) - Shishugou Formation(Dzungar basin) (中国)
中国・新疆ウイグル自治区の北部にジュンガル盆地が形成され、約1億6400万年-1億5900万円前に堆積した石樹溝層(Shishugou Formation)が広がっています。 現在は砂漠・荒野地帯ですが、ジュラ紀の中・後期には湖があり周囲には緑豊かな扇状地があったと考えれています。
石樹溝層(ジュンガル盆地)から発見された、主な恐竜
- マメンチサウルス(竜脚形類)
- グアンロン(獣脚類)
- シンラプトル(獣脚類)
- リムサウルス(獣脚類)
モリソン層 - Morrison Formation (アメリカ)
モリソン層(Morrison Formation)は、北米ロッキー山脈の東側コロラド州、ワイオミング州を中心に、北はモンタナ州、東はサウスダコダ州、西はユタ州、南はニューメキシコ州まで広がる、約1億5500万年~1億4800万前の地層。非常に広大な地域に広がるため、堆積した環境も様々だったようで、砂岩、泥岩、頁岩、石灰岩で覆われさまざまな種類の土が特徴的な色をもって露出しています。
砂岩は当時の砂丘の存在を示唆し、泥岩は雨季の洪水による平らな地表に堆積し、頁岩や石灰岩による層は池や湖など静かな水中で形成されたものです。
当時の二酸化炭素濃度の推定値から、この辺りは冬でも平均20℃、夏には40-45℃の温かい環境だったと推定されています。
ジュラ紀を代表する恐竜たちが闊歩していました。
モリソン層が露出する主な化石産出地
- ユタ州 Dinosaur National Monuent
- コロラド州 Canyon City
- コロラド州 Morison
- ワイオミング州 Como Bluff
- ユタ州 Cleveland-Lloyd採掘場
- コロラド州 Dry Mesa採掘状
モリソン層には、アロサウルスに関して特別な化石産地があります。ユタ州のクリーブランド・ロイド発掘地です。 この地からは約10,000個を超える恐竜の化石が発掘されていますが、そのうち70%はアロサウルスのもの。 アロサウルス以外にも竜脚類や剣竜も見つかるが圧倒的に少数です。
生態系の常識から考えれば、大型の捕食者(肉食恐竜)はエサとなる植物食恐竜よりも少ない個体数のはずですが、この発掘地では逆転しているのです。 現在有力な仮説は、「初めに少数の植物食恐竜が泥に足をとられて動けなくなり、それを見たアロサウルスが一頭、一頭と沼に近づきはまり、次から次へと大型の捕食者(肉食恐竜)を集める罠となった」というものです。
モリソン層から発見された、主な恐竜
- アパトサウルス(竜脚形類)
- アロサウルス(獣脚類)
- カマラサウルス(竜脚形類)
- カンプトサウルス(鳥脚類)
- ステゴサウルス(装盾類)
- ディプロドクス(竜脚形類)
- ミモオラペルタ(装盾類)
- ブラキオサウルス(竜脚形類)
ゾルンフォーフェン(ゾルンホーフェン) - Solnhofen (ドイツ)
ゾルンフォーフェン(ゾルンホーフェン)(Solnhofen)は、おそらく世界で最も有名な化石産地です。 ドイツ南部・バイエルン地方の東西約100km、南北約50kmにわたってジュラ紀後期-約1億5000万年前に堆積した石灰岩が分布し、 現在までに発見されている始祖鳥は、すべて、このゾルンフォーフェン(ゾルンホーフェン)近郊から発見されています。
ジュラ紀後期当時、珊瑚礁の内側に出来た渇湖に細かい石灰岩が堆積していく土地でした。水面近く-表層部では魚類や浮遊性の動植物が生息していましたが、水底では極端に酸素が欠乏していたようです。また、半乾燥気候が水分を蒸発させ、塩分濃度が高い状態が続きました。 この地が希少な化石を産出するポイントになったのは、水底が生物にとって最悪-塩分濃度が高く無酸素に近い環境で、死骸を分解する微生物でさえ生息できない環境だったことに起因します。 亡くなって水底に沈んだ動植物は腐ることも分解されることも少なく、保存状態の良い化石として産出することになったのです。 始祖鳥の他にも、アンモナイト、カブトガニ、魚類、エビ、ヒトデ、昆虫、ウミユリなど、600種を超える多彩な化石が発見されてます。
ゾルンフォーフェン(ゾルンホーフェン)から発見された、主な古生物
- アーケオプテリクス|始祖鳥(獣脚類)
- コンプソグナトゥス(獣脚類)
- ランフォリンクス(翼竜)
- プテロダクティルス(翼竜)
- メソリムルス(カブトガニ(節足動物))
- エリオン(エビ・甲殻類)
- ゲオコマ(ウミユリ(棘皮動物)
- コマツレラ(ウミユリ(棘皮動物)
ジュラシック海岸 - The Jurassic Coast (イギリス)
ジュラシック海岸(The Jurassic Coast)は、イングランド南部の海峡に面した海岸です。
断崖は三畳紀、ジュラ紀、白亜紀に形成された岩石層から成り、約1億8,500万年間に及ぶ生物相を閉じ込めています。
三畳紀この地域は砂漠でしたが、ジュラ紀には熱帯海の一部となり、白亜紀には沼地で覆われていたようです。
1811-1847年に活躍した古生物学者・化石収集家メアリ-・アニングの活動拠点だったことでも有名な土地。
「地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本である」として、2001年"Dorset and East Devon Coast"の名称でユネスコ世界遺産に登録されました。
ミネラルショー(鉱物・化石の即売会)などでは、ジュラシック海岸から産出したアンモナイトの化石が多く並びます。
ジュラシック海岸から発見された、主な化石
- イクチオサウルス(魚竜)
- プレシオサウルス(首長竜)
- ディモルフォドン(翼竜)
白亜紀の地層-恐竜化石産地
恐竜の繁栄と絶滅への衰退を経た時期です。ティラノサウルスやトリケラトプスを有するアメリカのヘルクリーク層が有名ですが、 近年中国の熱河層群から産出する羽毛恐竜が注目を集めています。
熱河層群 -Jehol Group (中国)
熱河層群(Jehol Group)は、中国遼寧省西部に広がる、白亜紀前期-約1億3000万年-1億1000万年前の地層です。
湖沼などの水系の発達と火山噴火の現象による堆積物がおおく、細かい土砂により魚のうろこや昆虫の翅など細部まで保存されている化石が見つかっています。
特に熱河層群が注目を集めたのが、1996年に記載された初めての羽毛恐竜シノサウロプテリクスの発見でした。 それ以降、熱河層群では羽毛恐竜の発見が相次いでいます。「どうして、熱河層群から羽毛恐竜の産出が多いのか」。 大きな理由として挙げられるのは、熱河層群の化石はきめ細かい灰岩によって埋積されたので、繊細な羽毛の痕跡が良好な状態で保存されたためと考えられています。 また、当時この土地の平均気温は10℃ほど(現在の東北地方北部と同等)だったとする研究結果が出されています。 熱河層群における外部環境が、羽毛の発達を促したのかもしれません。
熱河層群から発見された、主な恐竜
- プシッタコサウルス(周飾頭類)
- ミクロラプトル(獣脚類)
- シノサウロプテリクス(獣脚類)
- シノベナトル(獣脚類)
- ジェホロサウルス(鳥脚類)
- ディロング(獣脚類)
- メイ(獣脚類)
- ユティランヌス(獣脚類)
ダイナソーパーク累層 - Dinosaur Park Formation (カナダ)
ダイナソーパーク累層(Dinosaur Park Formation)は、カナダ・アルバータ州立恐竜公園(ユネスコの世界遺産にも登録されています)に広がる、約7500万年前の地層です。
公園は荒れた地形をもつレッドディア川(Red Deer River)渓谷に位置し、多くの恐竜を産出しています。
ダイナソーパーク累層から発見された、主な恐竜
- エウオプロケファルス(装盾類)
- エドモントニア(装盾類)
- オルニトミムス(獣脚類)
- カスモサウルス(周飾頭類)
- コリトサウルス(鳥脚類)
- ステゴケラス(周飾頭類)
- スティラコサウルス(周飾頭類)
- ダスプレトサウルス(獣脚類)
- ドロマエオサウルス(獣脚類)
- パラサウロロフス(鳥脚類)
ランス累層 - Lance Formation (アメリカ)
ランス累層(Lance Formation)は、ワイオミング州にまたがる約6900万年-6600万年前に堆積した地層です。
当時この土地は、亜熱帯気候でした。 見つかる化石のほとんどは陸上~淡水動物ですが、一部海棲の化石もみられ近くに海があったことを示唆しています。
ランス累層から発見された、主な恐竜
- アンキロサウルス(装盾類)
- エドモントサウルス(鳥脚類)
- トリケラトプス(周飾頭類)
- トロサウルス(周飾頭類)
ヘルクリーク累層 - Hell Creek Formation (アメリカ)
ヘルクリーク累層(Hell Creek Formation)は、アメリカのモンタナ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州、ワイオミング州にまたがる約6600万年前の地層。
白亜紀末期から新世代に移るK-Pg境界がみられる箇所も残されています。
恐竜を含む多くの化石を産出しており、白亜紀末期当時は亜熱帯気候だったことがわかっています。
ヘルクリーク累層から産出する恐竜の科レベルでの割合は、角竜ケラトプス科61%、鳥脚類ハドロサウルス科23%、獣脚類オルニトミムス科5%、獣脚類ティラノサウルス科4%、鳥脚類ヒプシロフォドン科3%、獣脚類ドロマエオサウルス科2%、堅頭竜類パキケファロサウルス科1%だそうです。
ヘルクリーク累層から発見された、主な恐竜
- アンキロサウルス(装盾類)
- エドモントサウルス(鳥脚類)
- ストルティオミムス(獣脚類)
- ティラノサウルス(獣脚類)
- トリケラトプス(周飾頭類)
- トロサウルス(周飾頭類)
- パキケファロサウルス(周飾頭類)