恐竜をさらに分類すると
お勉強 / 恐竜のしっぽ
竜盤目
竜盤目は、さらに以下の2種類に分けられます。
- 獣脚類(じゅうきゃくるい)
- 竜脚形類(りゅうきゃくけいるい)
今まで発見された肉食恐竜は、すべて獣脚類に属しています。(逆に、獣脚類がすべて肉食恐竜であったわけではありません。ジュラ紀後期に生息したチレサウルスは獣脚類でありながら、植物食だったと推定されています)
2本足で歩く特徴があり、2億3000万年前、恐竜発生初期の段階でエオドロマエウスやヘレラサウルス等の獣脚類がいたことがわかっています。
また、一部の獣脚類が現生の鳥に進化したことは定説となっています。
代表的な獣脚類には、ティラノサウルス、アロサウルス、ドロマエオサウルス、ヴェロキラプトル、スピノサウルス、オヴィラプトル等がいます。
竜脚形類は、大型の植物食恐竜です。 別名[かみなり竜]とも呼ばれ、体の大きさに比べて頭が小さく首が長いのが特徴です。
プラテオサウルスなど初期の竜脚形類は2本足歩行するものがいましたが、さらに大きくなる過程で4本足で歩くようになりました。
4本足で歩くことと、大型化が関係しているのかも知れません。
代表的な竜脚形類には、アパトサウルス、ブラキオサウルス、ディプロドクス、アルゼンチノサウルス、カマラサウルス等がいます。
鳥盤目
鳥盤目は、さらに以下の3種類に分けられます。
- 周飾頭類(しゅうしょくとうるい)
- 装盾類(そうじゅんるい)
- 鳥脚類(ちょうきゃくるい)
周飾頭類には、頭部に角やエリ飾りをもつ<角竜>と頭頂部が硬くふくらみをもつ<石頭竜>が属しています。
角竜の特徴はオウムのようなくちばしを持っていることです。中国やモンゴルで初期の角竜が見つかっており、『角竜の発生・起源はアジアで、そこから他の地域に進出した』と考えられています。
プシッタコサウルスやアーケオケラトプスなど初期の角竜は2足歩行が可能でした。竜脚形類と同様、角竜も大型化・進化に伴って4足歩行へと移っていきました。
代表的な周飾頭類には、トリケラトプス、スティラコサウルス、プロトケラトプス、パキケファロサウルス等がいます。
装盾類には、背中やしっぽにトゲを持つものや身体を硬い骨で覆う恐竜が属しています。 <剣竜>や<よろい竜>などとよばれる恐竜たちが属しています。
この種類に属した恐竜は総じて、俊敏ではなかったようです。肉食恐竜に襲われた時に、尾の先のスパイク状のトゲやハンマーのような骨の塊を振り回して、「逃げる」以外の対抗手段をもっていました。
代表的な装盾類には、ステゴサウルス、ケントロサウルス、アンキロサウルス、サイカニア等がいます。
鳥脚類は、ゆっくり歩く時は4本足歩行、走る時には2本足歩行も可能だったようです。 特に白亜紀中期以降に爆発的に拡散し、南極大陸を含むほぼ全ての地域で生息していました。
代表的な鳥脚類には、イグアノドンやパラサウロロフス、マイアサウラ、コリトサウルス等がいます。
新しい分類への挑戦
2017年3月、世界的な科学誌"Nature"に、恐竜の分類に関する新たな学説が掲載されました。
従来は、<竜盤目>と<鳥盤目>に大きく枝分かれしたあとに、それぞれに「獣脚類」「竜脚形類」、「周飾頭類」「装盾類」「鳥脚類」が含まれていました。(このページの主題となっています。)
ケンブリッジ大学の古脊椎動物学者Matthew Baronは、「竜脚類」と「ヘレラサウルス類」で<竜盤目>を成し、「獣脚類」と「鳥盤目」で<Ornithoscelida(鳥肢類)>を形成する提案をしました。彼の提案では、ティラノサウルス属する獣脚類とイグアノドンやトリケラトプス属する鳥盤目が従来考えられていたより近縁であったことを主張しています。 古生物学会での議論を活発化する挑戦的な内容ですが、まだ「教科書を変える」には論争を尽くす必要がありそうです。