2022年の恐竜ニュース
恐竜を絶滅させた隕石衝突は、北半球の春でした
2022.02.25
約6600万年前、恐竜をはじめ生物種の75%を絶滅させた隕石の衝突。現在のメキシコ・ユカタン半島沖に落下したとみられていますが、2月23日付の科学誌Natureに掲載された論文によると「隕石落下は、北半球では春(南半球では秋)だった」ことが示されました。
2017年に米国ノースダコダ州で見つかった複数のチョウザメの化石を詳細に調べた結果、かれらが隕石衝突から約1時間以内に死んだこと、魚の骨の成長速度が季節ごとに異なる点に着目して死んだ時期が春であったことを検証しています。
また、米国ノースダコダ州の白亜紀末期-隕石衝突時に死んだとみられる魚についての研究成果は2021年12月にも学術誌Scientific Reportsに掲載されています。異なる標本(化石)で異なる手法を用いて行った調査が、ほぼ同じ結果「春に死んだ」ことを示しました。
ティラノサウルスは3種いた?
2022.03.04
長年、ティラノサウルス(Tyrannosaurus)属はレックス(rex)種 ただ1種と考えられてきました。 "Tyrannosaurus"と"T-Rex"は同じ意味だったのです。
Gregory Scott Paul(イラストレータ、フリーの恐竜研究家)は、3月1日付の学術誌「Evolutionary Biology」に論文を掲載しました。
ティラノサウルスの体型は3パターンに分類でき、それぞれを別種として記載することを提案しています。
37体のティラノサウルス(の化石)について、大腿骨と下あごの歯を中心に計測して得られたデータに基づいて結論づけています。
"レックス(rex)"は<暴君>の意味ですが、
それに加えて2種、<女王>を意味する"レジーナ(regina)"、<皇帝>を意味する"インペラトル(imperator)"を種名として提唱しています。
しかし、ティラノサウルスの世界的権威も含め、Gregory Scott Paulの論文に懐疑的な意見を持つ古生物学者は少なくありません。
ヒトにも性別や年齢、個体で体格差があるように、ティラノサウルスも性別や成長、個体によって異なる体格をもつことはあるでしょう。
2020年にティラノサウルス類の権威トーマス・カーは、ティラノサウルスの1850に至る形態学的特徴を分析していますが、種の違いを示す特徴は見つけられなかったとしています。
ティラノサウルスをレックス(rex)1種とするのか、複数の種に分類するのかの結論を得るには、更なる発見や研究を待たなければなりません。
北海道から新種の恐竜パラリテリジノサウルス
2022.05.10
2000年に北海道中川町(蝦夷層群オソウシナイ層)の地層から発見されていた化石について、 テリジノサウルス類(テリジノサウルス科)の新属新種の恐竜であったことがわかりました。 北海道大学総合博物館、岡山理科大学、中川町エコミュージアムセンターなどが研究にあたっていましたが、 「パラリテリジノサウルス・ジャポニクス(日本の海岸に棲むテリジノサウルスの意味)」と命名しました。
白亜紀後期(約8300万年前)の地層から発掘されており、東アジアのテリジノサウルス類は 長い間、広い生息域で多様な環境に適応していたことを示すこととなりました。
アルゼンチンで巨大恐竜 大きな頭と短い前脚
2022.07.20
アルゼンチンのパタゴニア地域北部で、巨大な新種の肉食恐竜の化石が見つかりました。
新種の恐竜-獣脚類は全長約11メートル、体重4トンと推測されています。 約9000万~1億年前の白亜紀に、豊かな森林地帯だったパタゴニアに生息していました。 「メラクセス・ギガス」と名付けられたこの肉食恐竜の特徴は、短い腕。 おそらく、この腕で獲物を捕らえることも、腕を伸ばしても口元までもっていくことはできなかったと考えられています。