イクチオサウルス(魚竜)
古生物図鑑 / 恐竜のしっぽ
イクチオサウルスとは
学名(属名) | Ichthyosaurus |
名前の意味 | 魚のようなトカゲ(爬虫類) ichtys(魚のような)[ギリシャ語]-saurus(トカゲ)[ギリシャ語] |
分類 | 魚竜目・イクチオサウルス科 |
全長 | 約3m |
食性 | 肉食(魚やイカなど) |
生息時期 | 三畳紀後期-ジュラ紀前期 |
下分類・種名 | Ichthyosaurus communis Ichthyosaurus breviceps Ichthyosaurus conybeari Ichthyosaurus intermedius Ichthyosaurus anningae Ichthyosaurus somersetensis |
論文記載年 | 1821 |
特徴
イクチオサウルスは、三畳紀後期~ジュラ紀前期に生息した魚竜です。ヨーロッパ(イギリス、ドイツ、オランダ、スイス)やアジア(インドネシア)など幅広い地域から、保存状態の良い化石が多数みつかっています。
全長は約3m。現生のイルカに似た体型をしていますが、陸から海に戻った海棲爬虫類です。外耳骨は硬く、水中の震動を鋭敏に感じ取ることができたようです。
魚やイカが泳ぐときに生じる微細な水の震動を感知し、これらを捕食していました。
背びれに骨はありません。イクチオサウルスが記載された当初は「背びれのない」状態で復元されていましたが、のちに背びれの肉質痕跡が保存された化石が発掘されて背びれが描かれるようになりました。
イクチオサウルスやその他の魚竜について、出産シーンを閉じ込めたようなプレート化石も複数みつかっており、卵胎生(母親のお腹の中で卵を孵して、赤ちゃんのかたちで産む)であったことがわかっています。 産まれた直後から自力で泳げるよう、尾びれが発達していました。
化石収集家メアリー・アニング
大英自然史博物館に所蔵されています
(2017年東京・国立科学博物館で開催された「大英自然史博物館展」で展示されました)
イギリスの化石収集家&化石商として有名なメアリー・アニング(Mary Anning)。 彼女を一躍有名にしたのが、1823年に発掘したイクチオサウルスの全身骨格標本でした。
1811年にジョセフ・アニング(Joseph Anning)が、イギリス・ドーセット(Dorset)で魚竜の頭骨化石を発見しました。これが世界で初めてのイクチオサウルス発見となります。 翌年1812年、その他の部位をジョセフ・アニングの妹だったメアリー・アニング(当時12歳)が発見しました(現在この標本は、発見者アニングの名前を冠した"Ichthyosaurus anningae"の種名が与えられ、 イギリス・サウスヨークシャー州にあるドンカスター博物館に所蔵されています)。
1821年、イギリスの古生物学者Henry De la Beche & William Conybeareが新属としてイクチオサウルスを論文記載します。 アニング兄妹が発掘したものとは別の模式標本によるものでした。
1823年、最も有名となるイクチオサウルス(ichthyosaurus communis)の骨格標本をメアリー・アニング(Mary Anning)が発見します。 驚くべき保存状態だったこの標本は、大英自然史博物館に所蔵されています。
2017年に記載された新種のイクチオサウルス・サマーセテンシスの骨格標本
出典:On the largest Ichthyosaurus: A new specimen of Ichthyosaurus somersetensis containing an embryo.
Acta Palaeontol. Pol. 62.
by Dean R. Lomax and Sven Sachs.