福井県立恐竜博物館 訪問記 2024年
福井県勝山市にある「福井県立恐竜博物館」。
勝山市にまたがる手取層群北谷層(白亜紀前期 約1億2000万年前)からは、フクイラプトル(獣脚類)やフクイサウルス(鳥脚類)、コシサウルス(鳥脚類)、フクイティタン(竜脚形類)、ティラノミムス(獣脚類)など多くの恐竜化石が見つかっています。
福井県立恐竜博物館は2000年7月に開館し、ロイヤル・ティレル古生物学博物館(カナダ・アルバータ州)、自貢恐竜博物館(中国・四川省)など恐竜研究で有名な研究所・博物館と姉妹提携を結びながら規模を大きくし、2023年に新館もオープンしました。
3日(移動日込みで5日)の旅程で、福井県立恐竜博物館へ行ってきました。
準備 予約
福井県立恐竜博物館では、観覧券の事前予約を推奨しています。公式Webサイトには「入館には日時指定の観覧券が必要です。」と明記されています。予約状況により当日券の販売はありますが、事前購入で観覧券が完売となり当日券を販売しないことがあるそうです。 特に、ゴールデンウイーク、夏休み期間、土日祝日は事前予約しておいた方が良さそうです。
予約は、「福井県立恐竜博物館Webサイト内の観覧券販売ページ」(https://www.dinosaur.pref.fukui.jp/guide/ticket.html)から行います。入館希望日の60日前からの予約が可能です。
常設展、化石研究体験+常設展、野外恐竜博物館、特別展+常設展などの予約、チケット購入が可能です。ボクは以下のように3日間の予定を立てて予約を取りました。ふるさと納税の返礼品"常設展観覧券 引換票"を受け取っていたので、一部購入はせずに入館予約のみをして出発です。
1日目 | 化石研究体験(1200円)+常設展(引換票) |
2日目 | 常設展(引換票) 野外恐竜博物館(1300円) |
3日目 | 特別展+常設展(1800円) 化石発掘体験(1150円)(どきどき恐竜発掘ランド) |
(*)上記金額は、2024年9月時点。
1日目 常設展
博物館に到着してまず向かった先は、総合受付。そこでふるさと納税の返礼品"常設展引換票"と事前に予約した"化石研究体験"のQRコードを見せて、チケットに交換してもらいました。
3階のエントランス・ゲートを通って33mのエスカレータに乗って地下1階まで下りていきます。下りた先には"ダイナストリート"と呼ばれる通路があり、両側に絵画のように化石が飾られています。メソリムルス(カブトガニ)、アンハングエラ(翼竜)の前肢や巨大な魚竜など、ここに飾られた化石はすべて実物。
ダイナストリートを抜けると、全長15mのカマラサウルス産状化石がお出迎えしてくれました。この標本はアメリカ・ワイオミング州で発見されたものです。頭から尾までほぼ全身が揃う貴重な標本で、背骨と尾が上にそっています。頭部は首から分離して少し離れていますが、その他の部位はつながっていることから、死後 早い時期に土砂に埋まったと考えられます。
カマラサウルス産状化石の横を階段で上がると、正面にティラノサウルスの動く模型(実物の4分の3の大きさ)が吠えています。右手にサウロロフスの全身骨格(10.6m)、左手にタルボサウルスの全身骨格(9.4m)が待ち構えていました。1階は恐竜全身骨格50体を展示しているメインフロアです。
常設展地下1階では、"竜盤目"のブロックと"鳥盤目"のブロックに分けて展示されていました。
今まで多くの恐竜博や博物館に行ってきたボクにも、初めて観る恐竜がいて興奮しました。
竜盤目竜脚形類からは"ブラキオサウルス"の全身骨格。頭骨のみの展示は今までの恐竜博などで観たことはありましたが、全身骨格の迫力は初めてでした。お腹の下から見上げるのも福井県立恐竜博物館ならではの観賞方法、おススメです。また、カマラサウルスの全身骨格は恐竜博などで観ることができますが、福井県立恐竜博物館には頭骨実物化石が展示されていますので必見です。マメンチサウルスは、特に身体の半分以上を占める首の長さが特徴的です。目玉になりやすいのか、たまに恐竜博などで見かけることがありました。マメンチサウルスの首の長さをぜひ観てほしいです。
鳥盤目鳥脚類からは"オロロティタン"の全身骨格。初めて観ました。ロシアで発見されたハドロサウルス科の恐竜です。首の骨(頸椎)が他のハドロサウルス科の恐竜よりも多く、白鳥のように首が長いため"巨大な白鳥"を意味する学名がつけられました。
ぜひ観ておきたい標本として、奥に展示されている"ブラキロフォサウルス"。サフロロフス亜科に属するハドロサウルス科の恐竜で数多く化石が見つかっています。展示されている標本は、ウロコやクチバシ、爪などを残した本物ミイラ化石で、通称"レオナルド"と呼ばれる個体、世界でも有数の保存状態の良い化石です。アメリカ合衆国モンタナ州グレートプレーンズ恐竜博物館から期間限定で借用している化石で、福井県立恐竜博物館では「2033年までの展示」となる予定です。お早めに!
1階の「恐竜の世界」エリアからスロープで上がると、「福井県の恐竜」が展示されたエリアにつながります。
1982年に福井県勝山市で発見されたワニ(白亜紀前期)の全身骨格化石も展示されていました。このワニの化石発見がきっかけとなり地層の予備調査で肉食恐竜の歯が発掘され、福井県勝山市で本格的な調査が行われるようになりました。このワニがいなければ、現在の「福井県立恐竜博物館」もなかったかも知れません。
このエリアには、フクイラプトル、フクイサウルス、フクイティタン、フクイベナートル、コシサウルス、ティラノミムスが展示されています。
2階には「生命の歴史」エリアが広がります。46億年の生命の歴史を紹介するゾーンです。
先カンブリア時代のディッンソニアやキンベレラ(エディアカラ生物群)から、脊椎動物への進化、魚類、陸上への進出、両生類、爬虫類、恐竜への道、羽毛恐竜から鳥類へ、海に戻る爬虫類、翼竜、哺乳類の進化。。。と続きます。
このエリアには、ティロサウルス(モササウルス科)、プテラノドン(翼竜)、シノサウロプテリクス(獣脚類)、アーケオプテリクス(始祖鳥/獣脚類)、アーケロン(ウミガメ上科)など古生物ファンにお馴染みの面々が展示されていました。
1日目 化石研究体験
予約していた「化石研究体験」の時間(14:00-)が迫っていたので、新館へ移動します。2023年から新設された新館-化石研究体験スペースで3つの体験をすることができます。所要時間は120分とのことでした。
Lab.1 T.rex頭骨復元
1~4名でチームになり、ティラノサウルスの大きな実物大頭骨化石レプリカを組み立てながら、ティラノサウルスの頭骨を学ぶコースです。ボクが参加した日・チームは3名でした。レプリカですが研究員が監修しながら作成したもので、ティラノサウルスの脳函や目の入る位置、顎、歯並びなどを間近で観察することができました。
Lab.1は季節によって、内容が変更となるそうです。4月上旬~11月上旬はボクが体験した"T.rex頭骨復元"ですが、11月中旬~4月中旬は"化石発掘プラス"という体験コースになるそうです。
Lab.2 化石クリーニング
実際の化石クリーニングで使用されるエアスクライバーで石を削って化石を取り出す体験をします。拡大鏡で細かいところまで気をつけながら、削りすぎないようにレプリカの獣脚類の歯化石を取り出します。エアスクライバーの振動が手に伝わってワクワクしました。
取り出したレプリカの歯は用意された箱に入れて持ち帰ることができます。
Lab.3 CT化石観察
X線でスキャンした化石を360度あらゆる角度から化石の内部を観察することができます。観察できる化石は、哺乳類の頭骨や北谷層から出土した石、恐竜の化石など12種類。タッチパネルの操作で、輪切り状態-化石の内部を観察できるのは貴重な体験でした。あっという間に時間が過ぎました。
2日目 常設展(ダイノラボ)
本館の1階と2階の間に、ダイノラボと呼ばれるエリアがありました。迫力のあるティラノサウルス全身骨格がどーんとあるのが目印です。
このエリアではティラノサウルスの全身骨格化石をいろんな角度から間近に観察することができる他に、パラサウロロフスのとさか、エドモントサウルスのデンタルバッテリー、竜脚類の大腿骨に見られる成長線などを観ながら、恐竜の身体や仕組みについても知ることのできる展示がされています。
2日目 野外恐竜博物館
11:10出発の野外恐竜博物館ツアーに参加します。30分前に博物館総合受付で受付を済ませます。福井県立恐竜博物館(本館)から山奥へバスで移動して、手取層群北谷層(約1億2000万年前の地層)-恐竜の発掘現場を見学し、化石発掘体験を行うツアー(雪の無い季節(4月~11月の期間)限定。毎年開始日は異なるそうなので公式サイトで確認要)です。所要時間は約120分。化石発掘体験をするため、軍手の持参が必要です(ハンマー、ゴーグルは貸し出してもらえます)。バスは3台-フクイラプトル号、フクイサウルス号、フクイティタン号が控えていますが、ボクが参加した回は、バス2台(1台に20名ほど乗っています)での運行。ボクはフクイラプトル号に乗りました。平日ですが「結構、参加者いるんだ」との印象でした。
20分ほど細い山道を上がって、野外恐竜博物館に到着します。フクイラプトル号に乗った1班は初めに「化石発掘体験」を。
目の前に広がる北谷層から運んできた石をテントの下で割って、化石を探します。学芸員さん、お勉強中の学芸員の卵さんがたくさんいらして、化石探しのサポート・声掛けをしてくださいます。
「石を拾って、よく観察して、割ってみる」を繰り返します。白っぽい石は砂岩で割りにくく、黒っぽい石が割りやすく化石も見つかりやすいのでおススメとのこと。ボクは植物化石を見つけました(植物や貝化石はよく見つけられます)。
化石発掘体験を終えて、北谷層の地層を観に行きます。「フクイラプトル」「コシサウルス」など発見された場所を示すパネルを目印に地層観察をしました。「これだけの範囲の中で、多くの恐竜が見つかっている」ことに驚きました。
「2024年は発掘調査が一時的に行われていない年」だそうです。調査を行っているタイミングで野外恐竜博物館を訪れると、実際に発掘作業をしている状況が一望できそうです。
その後、展示場を見学します。化石が多く見つかった北谷層の現場説明や発掘のための道具、恐竜の足跡化石について解説を聞くことができます。貝や植物などの化石も展示されており、猛暑の中で野外活動が続いたのでちょっと一息つけた展示場内でした。
3日目 特別展
訪問した福井県立恐竜博物館では、特別展「バッドランドの恐竜たち」の開催期間でした。
北アメリカのバッドランドと呼ばれる荒野に露出した地層には、三畳紀後期から白亜紀に至るまでの化石が露出しています。三畳紀のロックポイント層、ジュラ紀のモリソン層、白亜紀のクローバリー層、シーダーマウンテン層、ダイナソーパーク層から発掘された恐竜を中心に、北アメリカの恐竜研究の歴史を辿る特別展です。
特に、「アロサウルス・フラギリス(Allosaurus fragilis)とアロサウルス・ジムマドセニ(Allosaurus jimmadseni)の比較」と「"ブラックビューティー"の愛称で呼ばれるティラノサウルスの頭骨(実物化石)」が目玉となる特別展だと思いました。
個人的には、マイアサウラの実物骨格化石も嬉しかったです。
訪れてみて
恐竜好きのボクには、3日間がちょうどいい滞在期間でした。常設展だけでも1.5日を要する量的なボリューム、それだけでなく「化石研究体験」「野外恐竜博物館へのツアー」「特別展」を網羅するには、「3日間(移動日込みで4泊5日)の予定で来て良かった」と思いました。
海外からの観光客、小さなお子さんを連れた家族連れの方が予想外に多かったです。
また、新型コロナウィルス感染症が5類感染症に移行した後ですが、館内のところどころに手指消毒液が設置されており、
ちょっとしたことですが、安心感がありました。
福井県立恐竜博物館
開館時間 | 午前9時から午後5時まで(入館は午後4時30分まで) ※夏季延長開館期間などがある |
休館日 | 第2・4水曜日(祝日の時はその翌日、夏休み期間は無休) 年末年始(12月31日と1月1日) その他、展示替えや施設の点検のため臨時休館があります |
所在地 | 〒911-8601 福井県勝山市村岡町寺尾51-11かつやま恐竜の森内 |
TEL | 0779-88-0001(代表) |
駐車場 | 無料(乗用車約1,200台) |
公式サイト | https://www.dinosaur.pref.fukui.jp/ |
番外編 - ソフトクリーム
福井県勝山市で、美味しいソフトクリーム屋さんを見つけました。
ジャージー種山地放牧をおこなう福井県奥越前高原のラブリー牧場の直営店で、旅程の3日目と4日目に行き、計3つのソフトクリームをいただきました。濃厚なミルク味のソフトクリームです。店内には12席あります。
2日間3つ食べた内訳は、ラブリーコーン2つ、メープルナッツまきばカップ1つでした。
おススメは、ラブリーコーン(450円,2024年9月時点)。興味のある方はぜひ。
みるく茶屋 本店
開店時間 | 午前10時から午後6時まで |
定休日 | なし |
所在地 | 福井県勝山市平泉寺町平泉寺85-26-1 博物館無料駐車場内 |
TEL | 0779-88-5691 |
駐車場 | 勝山城博物館無料駐車場 |
ラブリー牧場公式サイト | hhttps://lovelyfarm.lovepop.jp/ |