日本で発見された恐竜
お勉強 / 恐竜のしっぽ

日本で見つかった恐竜たち
1978年に岩手県で竜脚形類の化石が発見されて以来、日本でも続々と恐竜の化石が発見されました。
近年では、2021年にヤマトサウルス(兵庫県)、2022年にパラリテリジノサウルス(北海道)、2023年にティラノミムス(福井県)、2024年にヒプノヴェナトル(兵庫県)、ササヤマグノームス(兵庫県)が記載されています。
日本で見つかった恐竜のうち、学名がつけられているのは 以下の通りです。
日本で見つかった恐竜
名称 | 学名(属名) | 発掘場所 | 記載年 | 分類 |
ニッポノサウルス | Nipponosaurus | サハリン(旧日本・現ロシア) | 1936 | 鳥脚類 |
ワキノサウルス | Wakinosaurus | 福岡県(千石層) | 1992 | 獣脚類 |
フクイラプトル | Fukuiraptor | 福井県(手取層群) | 2000 | 獣脚類 |
フクイサウルス | Fukuisaurus | 福井県(手取層群) | 2003 | 鳥脚類 |
アルバロフォサウルス | Albalophosaurus | 石川県(手取層群) | 2009 | 修飾頭類 |
フクイティタン | Fukuititan | 福井県(手取層群) | 2010 | 竜脚形類 |
タンバティタニス | Tambatitanis | 兵庫県(篠山層群) | 2014 | 竜脚形類 |
コシサウルス | Koshisaurus | 福井県(手取層群) | 2015 | 鳥脚類 |
フクイベナートル | Fukuivenator | 福井県(手取層群) | 2016 | 獣脚類 |
カムイサウルス | Kamuysaurus | 北海道(蝦夷層群函淵層) | 2019 | 鳥脚類 |
ヤマトサウルス | Yamatosaurus | 兵庫県(北阿万層) | 2021 | 鳥脚類 |
パラリテリジノサウルス | Paralitherizinosaurus | 北海道(蝦夷層群オソウシナイ層) | 2022 | 獣脚類 |
ティラノミムス | Tyrannomimus | 福井県(手取層群) | 2023 | 獣脚類 |
ヒプノヴェナトル | Hypnovenator | 兵庫県(篠山層群) | 2024 | 獣脚類 |
ササヤマグノームス | Sasayamagnomus | 兵庫県(篠山層群) | 2024 | 周飾頭類 |

ニッポノサウルスが発見されたサハリンは現在ロシア領となっているため、現在の国内で学名が与えられた恐竜は14属となります。(ただし、ワキノサウルスについては2020年時点で"疑問名(国際動物命名規約において、どう適用するか不詳もしくは不明確な学名)"とされています)
福井県勝山市の恐竜
福井県勝山市には手取層群と呼ばれる中生代の地層がまたがっており、 獣脚類フクイラプトルの大腿骨、鳥脚類フクイサウルスの頭骨、竜脚形類フクイティタンの上腕骨や大腿骨、イグアノドン類コシサウルスの上顎や胴椎・大腿骨、獣脚類デイノケイルス科に属するティラノミムス、 その他さまざまな恐竜化石が発掘されています。 同地は日本屈指の恐竜発掘地となっています。
同市には古生物に特化した福井県立恐竜博物館(2000年開館、2023年新館オープン)もあり、50体以上の恐竜全身骨格が展示され、一般向けに化石研究体験ができる施設となっています。
原始的な獣脚類と進化的な獣脚類の特徴を併せもつ特異な恐竜です
タンバティタニス(丹波竜)
2006年、兵庫県丹波市で大型竜脚形類ティタノサウルス類(白亜紀前期=約1億1000万年前)の化石が発見されました。全長約15m。 <丹波竜>の愛称(ニックネーム)で呼ばれています。
2014年、新属新種であることが分かり、「タンバティタニス・アミキティアエ(Tambatitanis amicitiae)」と学名が付けられました。
学名(属名)の「タンバ」は産出地である丹波、「ティタニス」はギリシャ神話の女巨人に由来しています。
2024年には同じ地層から発見された獣脚類トロオドン科の化石が新属・新種であることがわかり、「ヒプノヴェナトル・マツバラエトオオエオルム(Hypnovenator matsubaraetoheorum)」と命名されています。学名(属名)の「ヒプノ(Hypno)」はギリシャ語で「眠る」の意味で、鳥のような姿勢で丸まって眠る状態で化石が発見されたことに由来します。
また同年2024年には、同地層から2007年-2008年に発見された化石が全長約80cmの初期角竜類の新属・新種であることがわかり、「ササヤマグノームス・サエグサイ(Sasayamagnomus saegusai)」と名づけられています。
日本全国で見つかる恐竜
岩手県岩泉町から発見された愛称モシリュウで呼ばれる竜脚類の上腕骨の一部が公開されたのは1981年でした。
それ以降、日本各地で学名が判別できていない(同定されていない)多くの恐竜化石が見つかっています。
熊本県御船町や岐阜県高山市、群馬県神流町などからも恐竜の爪や歯の化石が発見されていますが、学名は付けられていません。
1998年に熊本県御船町で見つかったテリジノサウルス類の脳函の化石は、恐竜の脳の研究をする上で貴重なものになっています。
2011年には鹿児島県薩摩川内市にある白亜紀後期(約8000万年前)の地層から角竜ケラトプス類の化石、2015年には長崎県でティラノサウルス科の歯化石が発見されて、話題となりました。
スピノサウルス類(獣脚類)の歯です
恐竜の卵化石も
1965年、山口県下関市に広がる白亜紀前期(約1億2000万年-1億年前)の地層-関門層群下関亜層群から、12片の卵化石が採取されました。
厚さは3.7mm。卵の直径は10cmほどと推定されています。
中国浙江省や韓国西武京畿道華城市でも似た卵の化石が発見されており、東アジアの広い地域に同種の恐竜が生息していたことを示唆しています。
2020年、卵殻内の裂け目状の空洞があり、中国産のものと比較して卵殻が厚いことから新種と判断しました。
この卵には、「下関の多裂卵石」という意味の「ムルティフィスウーリトゥス・シモノセキエンシス」との学名が与えられています。
日本で発掘された恐竜の化石スライドショー
日本で発掘された恐竜化石の写真をスライドショー(4分51秒)にしました。