インロン(インロング)

インロン(インロング)

Yinlong

インロン(インロング)とは

学名(属名) Yinlong
名前の意味 隠龍
映画"Crouchin Tiger,Hidden Dragon(待ち伏せる虎、隠された龍)"
分類 鳥盤目・周飾頭類 (周飾頭亜目・角竜下目・カオヤングサウルス科)
全長 約1.2m
食性 植物食(雑食の可能性も)
生息時期 ジュラ紀後期
下分類・種名 Yinlong downsi
論文記載年 2006
記載論文 A basal ceratopsian with transitional features from the Late Jurassic of northwestern China.
Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 273.
by Xu, X., Forster, C.A., Clark, J.M., and Mo, J. 2006.

特徴

インロンの生態復元模型
インロンの生態復元模型(2014年撮影)

インロンは、ジュラ紀後期のアジアに出現した最初期の角竜-ケラトプス類です。

名前の由来は、発見地付近で撮影された映画"Crouchin Tiger,Hidden Dragon(待ち伏せる虎、隠された龍)"にちなんで<隠龍>からきています。インロングとも呼ばれます。

2006年に発見されたインロン(インロング)が、角竜ケラトプス類の進化初期段階を語る上で重要なポイントになっています。

インロンの頭骨化石
頭骨化石(2009年撮影)

インロンの頭骨は、周飾頭亜目(角竜と堅頭竜を含むグループ)の進化の「ミッシングリンク」とも呼べる、驚くべき特徴のモザイクでした。

  • 角竜類の特徴:上顎の先端には、後のトリケラトプスなどに繋がる、角竜特有の嘴骨(しこつ)を持っていました。これは、インロンが角竜類の系統に属する最も初期のメンバーであることを示しています。
  • 堅頭竜類の特徴:一方で、頭の後方にある鱗状骨(りんじょうこつ)には、パキケファロサウルスのような堅頭竜類に見られる、こぶ状の装飾がありました。
  • さらに古い祖先の特徴:さらに、ヘテロドントサウルスのような、より原始的な鳥盤類が持つ、長く鋭い牙のような歯も持っていました。

これらの特徴は、角竜と堅頭竜が非常に近縁であり、共通の祖先から分かれて進化したことを示す、動かぬ証拠となりました。

インロン(インロング)Yinlongのイラスト
インロン(インロング)のイラスト

また、インロンのお腹があった場所からは、胃石(ガストロリス)が見つかっています。これは、飲み込んだ石を使って、硬い植物を胃の中ですり潰して消化していたことを示しています。 一方で、その歯は純粋な植物食恐竜とは異なり、鋭い部分も残していました。このことから、インロンは植物を主食としながらも、昆虫や小動物なども食べる雑食性であった可能性が高いと考えられています。

記載論文

2004年、中国新疆省にある宍粟層で初めてのインロンの化石が発見されました。保存状態の良い、頭骨化石でした。標本番号IVPP V14530でカタログ化されています。

インロンの記載論文抜粋-頭骨スケッチ
インロンの記載論文抜粋-頭骨スケッチ(2006年)
出典:A basal ceratopsian with transitional features from the Late Jurassic of northwestern China. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 273. by Xu, X., Forster, C.A., Clark, J.M., and Mo, J. 2006.