アフロベナトル

アフロベナトル

Afrovenator

アフロベナトルとは

学名(属名) Afrovenator
名前の意味 アフリカの狩人
Afro(アフリカの)[ラテン語]-vēnātor(狩人)[ラテン語]
分類 竜盤目・獣脚亜目・テタヌラ下目・メガロサウルス科
全長 約8m
食性 肉食
生息時期 ジュラ紀中期(約1億6700万年前-1億6100万年前)
下分類・種名 Afrovenator abakensis
論文記載年 1994
属名の記載論文 Sereno, P.C., Wilson, J.A., Larsson, H.C.E., Dutheil, D.B., & Sues, H-D. 1994.
"Early Cretaceous dinosaurs from the Sahara". Science 266: 267-271.

特徴

アフロベナトルは、アフリカ・ニジェールで発見されたメガロサウルス科の獣脚類です。1993年にアメリカの古生物学者ポール・セレノ氏が率いる探検隊によって、ほぼ完全な状態の骨格が一体発見されました。この発見は、当時のアフリカ大陸における恐竜の多様性を示す重要なものでした。

アフロベナトルの全身骨格化石
全身骨格化石(2009年撮影)

発見された地層は、ニジェールにあるティオウラレン(Tiourarén)層です。当初、この地層は白亜紀前期(約1億3200万年前-1億2500万年前)のものと考えられていましたが、後の堆積物の再調査により、ジュラ紀中期(約1億6700万年前-1億6100万年前)の地層であることが判明しました。そのため、アフロベナトルの生息年代もジュラ紀中期に訂正されています。

アフロベナトルの切手
切手

骨格はジュラ紀後期のアロサウルスに似ていますが、全体的に華奢で、より原始的な特徴を残しています。頭骨は低く長めで、吻部(口の部分)も狭くなっています。歯はナイフのように薄く、肉を切り裂くのに適していました。3本の鋭い鉤爪を持つ前肢は、獲物を捕らえたり、引き裂いたりする際に強力な武器になったと考えられます。

後脚は、脛骨が大腿骨より短いことから、長距離を高速で走るランナータイプではなかったようです。そのため、獲物を執拗に追いかけるよりは、待ち伏せをしたり、奇襲をかけたりして狩りを行っていたのかもしれません。

古環境と分類

アフロベナトルが生息していたジュラ紀中期の北アフリカは、広大な河川が流れる氾濫原だったと考えられています。同じティオウラレン層からは、竜脚類のジョバリア(Jobaria)や、スピノサウルス科のスコミムスに似た獣脚類の化石も発見されており、アフロベナトルはこれらの草食恐竜や他の生物を捕食していた可能性があります。

分類上はメガロサウルス科に属し、ヨーロッパで発見されたドゥブレウイロサウルス(Dubreuillosaurus)やエウストレプトスポンディルス(Eustreptospondylus)と近縁とされています。これらの恐竜と共に「アフロベナトル亜科(Afrovenatorinae)」というグループを形成するという説もあります。

アフロベナトルの切手・化石ギャラリー