恐竜の体重を推測する方法
お勉強 / 恐竜のしっぽ
イントロダクション
実際には体長1m、体重10kgにも満たない小さな恐竜も確認されていますが、一般に「恐竜は大きい」イメージをもたれているでしょう。
事実、有名なティラノサウルスが全長13m、体重8t、もっと大型化した竜脚類と呼ばれるグループの中-例えばアルゼンチノサウルスは全長35m、体重60tを超えていたようです。
現在生息している陸生動物での最大はアフリカゾウで、体長7m、体重最大10.5t。
恐竜が滅びたあと(約3600万-2400万年前)巨大な哺乳類-サイの仲間インドリコテリウムが生息していましたが、体長7.5m、体重15tと推定されています。
絶滅種、現生種を問わず、陸上動物最大種が恐竜(特に竜脚類)の中にいたことは確か。
大きさ、体重を知ることは、必要とした食物量、運動能力など、動物の生態を知る上で重要な要素になります。 現生種であれば体重を計測することは簡単ですが、絶滅した恐竜の体重をどのように推定しているのでしょうか。
昔ながらの方法 - 恐竜模型と水または砂を使う手法
保存状態の良い全身の骨格化石(または全身に近い状態の化石)が見つかっている場合、縮尺した生前の模型をつくって身体の体積を計り体重に換算する方法が用いられます。 模型を水に浸けて(または、砂に埋めて)どれだけの水・砂が溢れたかを測定し、本来の恐竜の大きさに戻して体重を推測する手法です。 "昔ながらの方法"ですが、縮尺モデルを正確につくることができれば信頼できる測定値が算出が可能です。
恐竜の縮尺モデルは筋肉、臓器も考慮して作成されます。モデル制作者がどの程度これらを正確に推測できるか、その技量も測定値に大きく影響します。 例えば、獣脚類、竜脚類には体内に多く空気が含まれていますが、これらの測定値への反映も難しいところです。
デジタルモデリングと凸包法
コンピューターの発達は、古生物の研究にも大きな影響を与えています。
デジタルモデリングは、組み立てられた全身骨格をいろんな角度から撮影し、コンピューター上で3次元のモデルを作成する手法です。 一度デジタルデータにとってしまえば加工は簡単なので、実際の化石標本を扱うよりも楽に大きさ、体重を推測することができるようになります。
凸包法とは、デジタル化した骨格モデルを包みこむように、筋肉などの軟組織に見立てた多数の多角形(ポリゴン)を付与し その恐竜が生きていたころの軟組織の量を求める手法です。 この手法をつかってロンドン自然史博物館に所蔵されているステゴサウルス(幼体)の体重を推定した結果、1.5tだったそうです。
手法による推定体重の違い
体重推定には、いくつか手法が確立されています。ただ、採用する手法によって結果が大きく異なることもあります。 例えば、同じティラノサウルスの成体標本を調査した結果、手法の違いによって推定体重は4tから18tまでばらつきがでています。
今後の調査、発見、研究によって、より正確な体重推定値が出せる手法が開発されることでしょう。
鳥類では・・・
鳥類学者たちの長年にわたるデータ収集と研究によって、 鳥類には"大腿骨の周囲長"と"体重"の間に信頼性の高い相関関係があることがわかっています。 そのため、数個の化石しか残っていない絶滅した鳥類でも体重の推定は可能になっているそうです。