恐竜とは -定義と特徴-
お勉強 / 恐竜のしっぽ
恐竜の定義
現在の学術的な恐竜の定義は、「鳥とトリケラトプスの直近の共通祖先と、そのすべての子孫」ということになっています。
ここで使われる属としての[トリケラトプス]自体に特別な意味はなく、[竜盤目である獣脚類(鳥)]と[鳥盤目の周飾頭類(トリケラトプス)]の、 直近の共通祖先から派生したグループを「恐竜」と定義しています。
プレシオサウルスに代表される首長竜類やプテラノドンなどの翼竜は、学術的には恐竜ではありません。
[鳥とトリケラトプスの直近の共通祖先]よりも以前に分化したグループに属しているからです。
分岐分類学の定義によると、ハトやスズメなど現生の鳥類も「恐竜の一種」に含まれます。
現生の鳥類は、「爬虫綱 > 双弓亜綱 > 主竜類 > 恐竜上目 > 竜盤目 > 獣脚亜目 > テタヌラ下目 > コエルロサウルス類 > マニラプトル類」に分類されます。
同じ[マニラプトル類]のグループには、オヴィラプトル(オビラプトル)やデイノニクス、ヴェロキラプトル(ベロキラプトル)などが属しています。
恐竜の特徴① 乾燥に強い卵
恐竜が陸地で成功を治めた要因のひとつとして、堅い殻で覆われた卵を産む動物であったことが挙げられます。
卵を堅い殻で覆って、胚に栄養を与えるための羊水(鶏の卵でいう"卵白"の部分)を内部に蓄えました。
産卵場所に水が必要な両生類とは異なり、恐竜は乾燥した陸地にも卵を産むことができたのです。
また堅い殻を持つことで物理的な強度も高まって、例えば地中に埋めて温度を保ったり、捕食者の目に入るのを防ぐこともできたかも知れません。
恐竜が出現した三畳紀後期、内陸部は乾燥した環境だったことがわかっています。乾燥に強い卵で繁殖できたことは、陸地で生活圏を広げることができた要因のひとつです。
恐竜の特徴② 2足歩行
現生のワニやトカゲのような主な爬虫類は、脚が腰から横に伸びてから、関節でほぼ直角に曲がって地面をとらえています。
これに比べて、恐竜は身体の真下に脚が伸びていました。
体重を支えるのに効率が良く、そのために動く速度が格段に速くなりました。2足歩行の体勢も可能となります。
身体の真下に脚が伸びている体勢には、もうひとつの利点があります。呼吸器-肺を圧迫せずに歩くことを可能にしました。
脚が横に伸びている4足歩行の爬虫類・両生類は、歩くときに身体をくねらせながら移動します。移動しながらのこの動作は肺を圧迫し、呼吸に不都合を生じさせます。
現生のトカゲも、移動中には呼吸を止めていることがわかっています。
2足歩行の体勢は、歩行するときに身体をくねらせる必要性をなくしました。歩行中にも、呼吸-酸素を取り入れる方法を獲得したのです。
酸素大気組成率10-12%の低酸素状態だった三畳紀中期-後期(現在の酸素大気組成率は21%です)に2足歩行の爬虫類 - のちに恐竜と呼ばれるグループが出現したことは、偶然の一致ではなかったと考えられています。
恐竜の中には「4足歩行」の種が多くいますが、これらは「大きくなった身体を支えるため、二次的に4足歩行に移行していった」と考えられています。 脚を身体の真下につける体勢を獲得していたので、歩行中に身体をくねらせる(呼吸を困難にする)必要はなく、このことは低酸素時代に有利に働いていたはずです。
一般に4足歩行として知られる 竜脚形類、装盾類や周飾頭類も、「初期の属(種)は2足歩行が可能だった」と推測されています。
例えば、プラテオサウルス(三畳紀に生息した初期の竜脚形類)、レソトサウルス(ジュラ紀前期の初期の装盾類)やプシッタコサウルス(白亜紀前期の初期の周飾頭類)等は、2足歩行が可能でした。
恐竜の特徴③ 骨盤の穴
恐竜の骨盤(腰の骨)には穴が開いており、そこに大腿骨の突起がしっかりはまっているのに対して、
ワニやトカゲのような主な爬虫類の骨盤に穴はありません。
脚がしっかりと骨盤に入っていることも、恐竜の素早さや体を大きくする(大きな体を安定させる)ことに役だっていたかも知れません。